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おはなしのプロットはこう作る on web
田中桂 ※この記事は誠文堂新光社刊『コミックス・ドロウイング』誌1号(2007年12月)に掲載された、『おはなしのプロットはこう作る』から続くものです。読んでないとついてこられないかもしれないのであしからず。 さて、雑誌の方では1例しかあげられなかったプロットですが、ここではまったく同じカードの組み合わせから、もうひとつ作ったプロットを載せておきましょう。 (一応作ってあったんだけど、誌面に入りきらなかったのよ。なのでこの記事自体、もともと書いたフルバージョンから再構成) カードを引いた結果
これだけでは『〜妹A』(『こみどろ』1号参照)のプロットそのままにはだいぶ欠けています。 つまり〈プロットカード〉によるプロット作りは、カードで与えられた要素を土台に、作者の頭の中にある物語の断片を加えて完成させていくものなのです。 めぐみ「でも、こんな少ないカードだけじゃ、決まったおはなししか作れないんじゃないの?」 スミーシー「いやいやそんなことはないぞ。プロットを構成する要素に定石はあっても、その定石を実際のプロットにするパターンは無限じゃ。実際に同じカードから違うプロットを作ってみればそれがわかる」 では次に、同じカードから作ってみたもうひとつのプロットを見てみましょう。 おはなし2『オレの好きな妹』B 和くん「めぐみ、行って来るからな」 めぐみ「いってらっしゃいお兄ちゃん!」 はじけるような笑顔でオレを送り出す妹めぐみ。これから彼女とデートだっていうのに、めぐみの笑顔を見るとオレはなんだか憂鬱な気分になってくる。 めぐみが悪いんじゃない。悪いのはオレだ。 彼女がいるのに、オレはめぐみのことが好きなんだ。妹なのに……オレはあいつのことを思うとたまらなくなる……。 マンガ同人誌仲間の彼女がいるというのに、妹めぐに恋心を抱いてしまっている和くん。 彼女はふたりで合作のマンガを描いて、イベントで発表しようと張り切っています。 しかし、和くんは自分の気持ちに嘘がつけず、ついに彼女に自分の本当の気持ちを告げてしまいます。 和くん「オレ、ほかに好きなひとがいるんだ」 彼女とは大げんかになります。けれど、怒っている彼女も薄々和くんの気持ちには気づいていたのです。 彼女「いいわ、次のイベントは私ひとりで参加するから。でも、約束して。次のイベントにはその好きな娘も連れていっしょにコスプレでもしてらっしゃい」 彼女に背中を押され、意中の人……妹めぐみに告白に向かう和くん、彼の恋は前途多難そうです。 どうでしょうか。同じカードの要素からではだいぶ違ったおはなしが作れることがわかってもらえたでしょうか。 とくに和くんの好きなあいてがめぐみちゃんであるところは同じでも、「ほかの好きな人がいる」のが和くんなのかめぐみちゃんなのかで、プロットは大きく変化します。 というわけで、誌面にあったカードからのプロット製作でした。 また同じようにカードを引いておはなしを作るのはぜひやりたいなあと思ってます。 感想などありましたら、ブログ「空想海軍航海日誌」までお寄せください。 |