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第3回 解説
『コミックスドロウイング』(誠文堂新光社)4号掲載

連載は3ページ+裏話1ページの計4ページで構成されています。
フルサイズのビジュアルと、裏話については掲載紙をご覧ください。
サイト上では、紙面に載りきらなかった細かな部分を掲載していきます。

解説テキストはすべて伊豆平成。
ビジュアルは『コミックスドロウイング』誌表紙を除いてすべてりりんら。

コミックス・ドロウイング4号



その1:壁画

 絵の中でその世界の人たちの描く絵を描くって大変そうだなあ……と思ったパート。りりんらさんが随分とがんばってくれた。「カナンの絵の雰囲気はこうなのか〜」と、楽しませてもらった。八犬伝展のパンフレットにあった錦絵なども参考にしてくれたようである。
 ネモウとゴウダニの身体に書かれた文字は、設定されたカナン文字(表音文字)で、本当に二人の名前が書いてある。これまた飾り文字風に書いてくれていて嬉しかった。





その2:湿地帯

 ハンムーはゴヌドイル河への支流も多くて湿地帯が多い。治水をしっかりやれば米作りに適している。戦車戦に向いているとは思えない場所だが、この二人の諍いをちょうどいい暇つぶしだと思って焚きつけたハンムー王が「戦うなら民に迷惑のかからない場所で」との考えから三日月湖の近くで模擬戦をしろと言った。ヨニムニの入れ知恵があったことは言うまでもない。




その3:ヨニムニのクァダンカ

 1回に登場したクァダンカ(宴会用の建物)と、2回に登場したザベンジ(ヴォジク国の街のような筏)をふまえての絵が欲しいなあと思った結果こうなった。
 ハンムーとヴォジクはライバル関係にある。水軍ではヴォジクが圧倒的に強く、なかなか勝てないハンムーの軍人たちは、水の神がいつもヴォジクに肩入れしているように感じていたことだろう。その辺も引き合いに出して、ヨニムニは二人を諫めたわけである。
 あと、ここでは、武人二人が座っている敷物が最初は現代風の座布団だったので注文をつけさせてもらった。りりんらさんと話し合いの末、「ハンムーでは宴席の敷物は客が自分のものを持ってくるのが礼儀とされている」という案が出た。このゴザみたいのは、丸めると手提げの部分があって持ち運べるのである。カナン語での名前はまだない。



こぼれ話
その1:ヨニムニの配下
 こうしてみると、女ばかりが先に仲間になっているのか……と、今さら気づいた。まあいいか。まだあと一人、女性がいるのだが……。

その2:ネモウとゴウダニの槍談義
 槍の長さは、ネモウが短くて良いと言い張り(手が長いから自分は届くし、投げて使うという戦法を主張した)、ゴウダニが長くて良い(元来、長いものだから)と譲らなかった……という設定。太閤記なんかでの秀吉と勝家と意見が逆なところがミソである。

その3:里見八犬伝
 本誌にも書いたが、本当に江戸時代のライトノベル。滝沢馬琴の連載が続いている間に、映画化やアニメ化されて(もちろん江戸時代だから、歌舞伎の演目になったってこと)、イラスト集(錦絵)や、ゲーム(すごろく)や玩具(凧)まで売られちゃうあたり、本当に人間のやることは変わってない。
 馬琴は絵にもこだわって、本に載るイラストには細かい指示を出していたらしい。私も見習わなくては……。



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