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第4回 解説
『コミックスドロウイング』(誠文堂新光社)5号掲載

連載は3ページ+裏話1ページの計4ページで構成されています。
フルサイズのビジュアルと、裏話については掲載紙をご覧ください。
サイト上では、紙面に載りきらなかった細かな部分を掲載していきます。

解説テキストはすべて伊豆平成。
ビジュアルは『コミックスドロウイング』誌表紙を除いてすべてりりんら。

コミックス・ドロウイング5号



その1:

  「手前に物を並べて雑然とした雰囲気を……」という構図でお願いし、二枚のラフが描かれ、皆で悩んだ末に、あの立ちポーズが選択されました。
 何柱のムング(神)が、自分たちの絵の出来映えを確かめに来ています。一部のムングにとってプカプカは、自分の姿を絵にしてくれる興味深い存在となっています。例えば、毛むくじゃらの神は「絵筆の神」、黄色の箱形の神は「煩雑さや、散らかった部屋の神」だと思われます。
 ムングの姿を札絵にすることは、“早耳の”ポトイとしての任務とも、紙芝居師としての仕事とも関係ありません。プカプカは出会ったムングの姿を残したいだけなのです。
 全ての神を札にしたとき、彼女は「ムング札の神プカプカ」と呼ばれる神になったと言われています。





その2:

 (プカプカのムング札の由来)
 それはカナン世界が創造されて間もない頃のこと。
 カナンを舞台としたRPGが作られ、そのテストプレイでの私のキャラクターがプカプカでした。
 最初のシナリオでムングが現れ、その姿を絵にしたのがきっかけでプカプカは「カナン中の神様を描く」というキャラになりました。その後のPBMでムングのイラスト付きのカードが使用され、「ムング札」の設定が作られたとき、この神の絵はプカプカが描いたものに違いない……となったのでした。




その3:

 カナン文化研究家の菅野氏によると、ケ・シポ・チの花はピンクの花びらで花粉は黒いそうです。その花びらに水を加えてよくすりつぶして乾かした物が頬紅として使われます。花粉のほうは、樹皮にキズをつけて出てくる樹液を水で薄めたモノで溶かし、煮詰めてマスカラのように使うのだそうです。



こぼれ話
その1:紙芝居師
 吟遊詩人や人形使いと瓦版屋を混ぜたような、カナン独特の職業です。彼らは戦場にいても、戦いの結果を正確に伝える者とみなされ攻撃されない慣わしでした。
 無論、中には一方の国に雇われ、歪んだ情報を伝える紙芝居師もいたので、この慣習が守られないことも往々にしてありました。例えば、シク国の兵士は紙芝居師も平気で殺したといいます。

その2:ムング札
 プカプカが描いた札絵が最初のムング札だったと言われています。後世では、札遊びや占いの道具としてカナン全土に広く分布し、神々の構成や枚数などは地域によって違います。

その3:鏡のこと
 化粧している→だったら鏡を見ているね……などと当たり前のように考えてしまい、りりんらさんにイラストをお願いしてから「待てよ、カナンの鏡って……?」と悩んでしまいました。透明で平らな板ガラスなんて、カナンにはないはずです。
 悩んだ結果ひねりだしたのが、本誌の説明でした。



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